日本人女性の多くはピルに悪いイメージを持っているようですが、きちんと理解し、
使用すれば心強い味方にもなります。
「ピル」と聞いてどのような
イメージが浮かびますか?
怖い、体に悪い、太る、将来に影響する、副作用が怖い、値段が高い、毎日飲むのがめんどくさい、飲んでいることが恥ずかしい…。
ネガティブなものが多いのではないのでしょうか。
でも実は、ピルは上手に使えば体調が楽になり、良い面も多いアイテムです。
ピルは上手に使えば、避妊以外にもメリットがたくさんあります
ピルはネガティブな面だけではなく、現代社会に生きる女性にとってはネガティブ以上のポジティブな効果が期待できます。
避妊薬として開発普及されているピルですが、下記のようなメリットのために飲んでいる方も非常に多いです。
- PMS(月経前症候群)の症状が楽になる(排卵抑制効果とホルモンバランスが一定になるため)
- 生理の経血量が減るため、生理が軽くなり、時に貧血が改善する
- 子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)の進行が抑えられる・発症が予防できる
- 生理前に悪くなっていたニキビが良くなる(ピルに含まれる黄体ホルモンのはたらきで、男性ホルモンの抗アンドロゲンが
作用するため) - 生理の周期が順調になり、自己管理で月経周期を仕事や旅行の予定にあわせ移動することができるようになります
卵巣がん、子宮体がん、リウマチなどの病気がおこりにくくなる
気になるピルの副作用は?
一番多い心配は薬による副作用だと思います。ただ、インターネットに書かれているような「妊娠できなくなる」は根拠のない事ですし、
「太る」ということも個人差はありますがほとんどありません。
報告されている副作用として、不正出血、乳房の痛み、頭痛、気分不良、吐き気、お腹の痛み、不安感、イライラなどの症状が
あらわれることがあります。
*重篤な副作用として血栓症の発症がありますが、発症頻度は非常に低く、体質的や持病の問題で内服できるかどうかのチェック、
丁寧な問診と説明、定期的な血液検査などのフォローで安心して内服できるよう最善の配慮をして処方しています。
婦人科・女性医師としてピルを
処方する理由 ピルはあなたの
味方です
ピルは「ライフデザイン・ドラック(生活を良くするという意味)」とも言われ、日本での処方率は低いですが、海外では50%の普及率の国も多くあります。
現代女性のライフスタイルの変化によって、晩婚化(ばんこんか)、少子化が急速に加速し、一生で経験する生理の回数も急増しています。
そのような変化の中で、生理痛、生理前の不調、内膜症や筋腫など女性特有の病気や不調で生活に支障をきたしているのに我慢している女性が増えています。
ピルは現代女性の強い味方です。ネット上のネガティブな情報のみに惑わされることなく、自身にとって強い味方の選択肢としてピルを今一度見直してみませんか?
院長 伊藤 加奈子
避妊効果を得るためにつくられたお薬で、毎日1錠内服します。
正式には、「低用量経口避妊薬」といいます。日本では、「ピル」「OC・オーシー」と呼ばれています。
OCの内服は避妊効果だけではなく、その作用により、月経困難症(生理痛)・過多月経の症状改善、子宮内膜症の病態改善、卵巣癌・卵巣嚢腫・子宮体癌のリスクの減少などピルにはいろいろな副効用があります。
女性の人生設計、生活設計をサポートすることができる「ライフデザインドラッグ」です。
ピル・OC(低容量ホルモン剤)についての疑問質問に答えながら、丁寧にピル処方をします。
*性感染症の予防・治療効果はOCにはありません!予防にはコンドームの使用が必要です!
低容量ホルモン剤(OC)比較
ピルには1相性と3相性があります。<当院は1相性はマーベロン、ファボワール(マーベロンのジェネリック)。3相性はトリキュラーを取り扱っています>
21日間、ホルモン配合比率が同じ錠剤を飲むのが1相性ピルです。
3相性ピルは21日の間に配合比率を変えた3つの錠剤を飲み分けます。
また、含まれている黄体ホルモンの種類によって、「第1世代」、「第2世代」、「第3世代」という分け方をされます。
トリキュラー:第2世代3相性
LNGという黄体ホルモンの作用で子宮の内膜が安定するため、服用中の不正出血の頻度が他の低用量ピルに比べて少なく、休薬期間(偽薬服用)中の月経がきちんと起こることが多い(=きちんと生理がくる)という特徴があります。
マーベロン、ファボワール:第3世代1相性
第3世代のピルは黄体ホルモンを使用したもので、他の世代のピルと比べて男性ホルモンの作用が一番少ないことが特徴です。
ピルはもともと大人ニキビの治療に効果があり、通常服用開始から3ヶ月程度で効果が現れますが、服用する薬品によっては1ヶ月目から効果が出ることもあり、ニキビでお悩みの方にはこのピルが一番おすすめです。
しかし、服用のはじめにむくみなどがみられることがあるため、医師による正しい判断が必要です。
セラゼッタ・デシレット(ミニピル)
セラゼッタは正しく経口摂取することで避妊することができる薬で、有効成分の黄体ホルモン「デソゲストレル」が0.75㎎含有の、第3世代・1相性の避妊薬です。(国内で未承認の薬のため、輸入品となります。そのため、この薬品は医薬品副作用被害救済制度は適用されません)
卵胞ホルモンであるエストロゲンを含んでいないため、自然に生理がおこり体への負担は少ないピルです。
このように卵胞ホルモンであるエストロゲンを含まないピルを「ミニピル」と呼んでいます。
通常使用されているピルにはエストロゲンが入っており、肥満の方や35歳以上の方はエストロゲン量の増加による子宮体がんや卵巣がんのリスクがあることから、使用しにくいというデメリットがありました。
しかし、ミニピルは黄体ホルモンのみで、卵胞ホルモンが含まれていないためピルで挙げられていた血栓症などの副作用がないことや子宮体がん・卵巣がんのリスクがある35歳以上の方、肥満傾向の方でも使用することができるお薬です。
ミニピルの副作用は比較的起こりにくいとされていますが、服用を開始したばかりの頃は副作用が起こりやすくなっています。
飲み続けることで徐々に慣れていきますが、報告されている副作用としては、不正出血、乳房の痛み、頭痛、気分不良、吐き気、嘔吐などの症状や神経系からくる不安感、イライラなどの症状が現れることがあります。
また、子宮体がんや卵巣がんのリスクは低下しますが、乳がんや子宮頸がんのリスクが若干増加することが分かっています。
服用を開始して薬が合わないと感じる場合には、服用を中止し医師に相談しましょう。
薬剤名 | トリキュラー28(3相性) | マーベロン28(1相性) | ファボワール28(1相性) |
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Tシート | |||
値段(1シート) | ¥2,550 | ¥2,550 (学生 ¥2,000) | ¥2,550 (学生 ¥2,000) |
薬剤名 | ミニピル | |
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セラゼッタ(1相性) | デシレット21(1相性) | |
Tシート | ||
値段(1シート) | ¥3,300 | ¥3,300 |
※ミニピルは輸入在庫状況によって処方種類がセラゼッタかデシレットのどちらかになります