
上記テーマについて、6つの治療法を2回に分けてお伝えいたします。
今回は後編です。
- まずは痛みをとってみる 鎮痛剤
- 血のめぐり 気のめぐり 水のめぐりを整える漢方薬
- 排卵をおさえて月経量・月経痛を減らす低用量ピル
- 生理をお休みする黄体ホルモン療法(ディナゲスト療法)
- 生理を止める治療・閉経に逃げこむ治療
- 黄体ホルモンを直接ゆっくり放出し続けるミレーナの留置(子宮内黄体ホルモン放出システム)
4.生理をお休みする黄体ホルモン療法(ディナゲスト療法)
生理の前に分泌されるホルモン(黄体ホルモン)を1日2回内服することで、子宮内膜症を悪化させる卵胞ホルモンの分泌が抑えられ、子宮の内膜が厚くならないようにし、生理をお休みした状態を維持する治療です。
低用量ピルと比較して副作用が少なく、血栓症の心配もありません。
初潮からまだ時間の経過していない骨成長期や性交経験がない思春期の中高校生や、ピルの内服を控えたほうがいい人(血栓症リスクの高い人、喫煙量の多い人、周閉経期の人、40歳以上の方)は、ピルと比較すると、副作用による負担が少ない治療のため安心して治療を続けることができます。
卵巣からのホルモン(卵胞ホルモン)の分泌を完全には抑えないため、排卵することがあり、避妊効果は保証されません。
このため妊娠を希望しない人は避妊が必要になります。
5.生理を止める治療・閉経に逃げこむ治療
子宮筋腫や子宮内膜症による卵巣嚢腫などの器質的な疾患がある人は、1年のうち半年間の生理を止める治療も選択肢にあがります。
1日1回内服するもの(レルミナ)、月に一回注射するもの(リュープリン)で、1年のうち6回の生理を止めることで生涯月経回数を減らすことができます。
卵巣から分泌されるホルモン(卵胞ホルモン)をしっかり抑え、子宮の内膜の増殖を抑制することができるので、出血が全くない状態を維持できます。
半年間治療を受けることで、子宮筋腫や内膜症のサイズを半分くらいまで縮小できる方もいます。
6.黄体ホルモンを直接ゆっくり放出し続けるミレーナの留置
5年分の黄体ホルモンを含んだ小さな羽つきカプセルのような形態のもの(ミレーナ)を子宮内に留置することで、子宮内膜が厚くならないようにし、生理量も月経痛も減らすことができます。
これを「子宮内黄体ホルモン放出システム」といいます。
出産経験のある方や避妊効果を期待したい方にすすめられますが、ミレーナ挿入に適さない人もいます。
一度婦人科診察を受けたあとに挿入可能かの判断となります。
いずれの治療も、超音波検査や帯下の炎症の有無の検査や採血や子宮がん検査などを定期的に受けながら継続していかれることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
前編を読まれていない方はぜひ前回ブログをご覧ください!
北岡 江里 医師(婦人科)
診療日 AM:火・水・木・土 PM:月・水・木