
前編では、正常な月経周期の定義や、周期が長くなる「稀発月経・無月経」についてお話ししました。
後編となる今回は、「周期が短い月経」や「経血量の異常」に焦点を当て、見過ごされがちな病気のサインや、閉経期に差し掛かる体の変化、そしてその対処法について解説していきます。
月経周期が24日以下になる「頻発月経」
月経周期が24日以下という短いサイクルになることを頻発月経といいます。
黄体機能不全にご注意
頻発月経の中でも、排卵後に分泌されるホルモンである黄体ホルモンの分泌が不十分で、排卵日から生理が始まるまでの期間が短くなるタイプを黄体機能不全といいます。
黄体ホルモンが不足すると、子宮内膜が十分にあつくならないため、妊娠しにくかったり、妊娠しても流産がおこりやすくなったりすることもあります。妊娠・出産を望んでいる場合、早めに婦人科を受診し、ホルモン分泌の状態を調べ、排卵後の黄体ホルモンを用いた黄体補充療法が妊娠への一助となります。
経血量の異常:「多すぎる」「少なすぎる」「長すぎる」サイン
生理の期間が長く8日以上続く「過長月経」
生理の期間が長く8日以上続く状態を過長月経といいます。
脳と卵巣から分泌されるホルモンがリズムよく出ていないと、排卵しない周期となり、厚くなった子宮の内膜が一気にでていかず、ゆっくり少しづつ、はがれ出ていくため、出血の期間が長くなります。
出血量が異常に多い「過多月経」
また、以下の症状がみられる場合を過多月経といいます。
- 出血量が多かったり(乳酸飲料ヤクルトの容器1本=80CCを超える)
- 経血に1センチを超える塊が何個も混じったり
- 夜用の大きなナプキンやタンポンが余白なく血液が付着する
過長月経や過多月経は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜炎、子宮がん、ポリープなどの病気が原因になることもあるため、超音波検査や子宮がん検査を受けていただくことが大切です。
極端に量が少ない・期間が短い「過少月経・過短月経」
- 過少月経:経血量が極端に少なく、ナプキンの表面に経血がわずかにつく程度で終わってしまう(ナプキン交換が1日中不要な状態)。
- 過短月経:月経が2日以内で終わってしまう場合。
卵巣から分泌されるホルモンが少ないため、子宮の内膜があつくならず、量が少なく終わります。
子宮自体の発育不全や、甲状腺機能異常が原因のこともあります。また、生理がきていても排卵のない無排卵月経になっていることもあります。不妊の原因にもなるので、ホルモン剤による治療が必要なこともあります。
30代後半から始まる「閉経期への移行」と更年期障害
卵巣は、35才ごろから少しずつホルモンの分泌に変化が出始めます。
日本人の平均閉経年齢は50歳ですが、その数年前からホルモン分泌に変化が出始めます。30代後半から40代に入ると、生理周期が乱れたり、経血量が減ったりして、徐々に閉経期に移行していきます。
卵巣から分泌されるホルモンが足りないことによる更年期障害の症状(ほてり、汗、腟の違和感など)がある方は、ホルモン補充療法(HRT)で症状の軽減を図ることができます。
最後に:気になる症状があれば婦人科へ
「いつものこと」と諦めてしまう前に、ご自身の月経周期や経血量を記録し、少しでも「おかしい」と感じるサインがあれば、一度婦人科を受診してください。
早期発見・早期治療が、あなたの健康な未来を守ります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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この記事を書いた人
北岡 江里 医師(婦人科) 診療日 AM:火・水・木・土 PM:月・水・木
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